選考の中でも重要なステップが面接です。
新卒で就活をする学生は
しっかり対策をしておこうと面接についてリサーチする人も多いです。
どの企業でどんなことを聞かれたかをまとめたサイトなどもあって
情報が溢れているように見えますが、
障がい者採用の面接に特化した経験談はなかなかありません。
この記事では、そんな障がい者採用の面接で特に聞かれる内容について
私の面接官としての実体験を盛り込みながらまとめました。
障がいの種類によって話す内容も異なると思いますが
イメージが湧きやすいように汎用性を意識して回答例も記載しましたので
ぜひ参考にしてみてください。
- 障がい者採用の面接で何を聞かれるのか気になる人
- 面接での質問にうまく答えられず悩んでいる人
障がい者採用の面接では何を聞かれる?
障がい者採用の面接で聞かれる内容
私が新卒の障がい者採用の面接を必ず聞くことを記載すると、
ざっとこんな感じです。
- 自己紹介(アイスブレイクとして)
- 学生時代にがんばったこと
- 就職活動の進め方・考え方
- 志望理由
- 入社したらやりたいこと
- 障がいの内容や必要な配慮について
恐らくかなりスタンダートな内容かと思いますし、
社内や他社の人事と会話してもおおよそこれらの内容を抑えておけば間違いないです。
障がい者採用の面接では「障がいの内容や必要な配慮について」を
正しく分かりやすく説明できるか否かがポイントとなります。
通常採用でも聞かれる内容であり、
事例や対策は世にあふれているのでこの記事では割愛します。
なぜ面接で障がいの内容について聞くのか
障がいの内容や必要な配慮は
その候補者を採用できるか否か、
採用できる場合にどのような場所・部署に配属すべきかを
考える重要な材料となります。
特に特例子会社ではない一般企業では
どんな内容・等級の障がいでも心配なく受け入れられるという
わけではありません。
候補者本人にとって働きやすい環境を用意できるか、
何かあったときに候補者本人と周りの人を守ることができるかを
しっかり見極めてからオファーを出すことが重要です。
例えばですが、以下のような組み合わせ例だと採用が難しいです。
一部働ける部署があったとしても
新卒入社は内定後に配属が決まるケースがほとんどだったり
入社後も会社事情により配置転換(異動)が必要なケースがあるので
採用を見送った方が企業・候補者双方のためになります。
障がいについての具体的な質問・回答例
ここからは具体的な質問内容・聞く理由・回答例を記載します。
企業や面接官によって聞かれる順番は異なると思いますが
これらを抑えておけばおおむね間違いないです。
障がいについて教えてください
まずは障がいの概要を理解するために
障がいについて簡単に説明いただくようお願いしています。
必要な内容はこの後にも質問を続けて確認することができるので
1~2分でさくっと答えて問題ないです。
私には聴覚障がいがあります。
頻繁に会話をする慣れた相手だと口の動きでほとんど理解できますが
初めて話す人や慣れない内容だと手話や文書でのサポート必要です。
私には心臓障がいがあります。
日常生活で困ることはほぼありませんが、
激しい運動は控えるように主治医から指示が出ています。
障がい内容を踏まえてできること・できないこと
1つ前の質問で包含できることがほとんどですが
何ができる・できないがつかめていない場合には
改めて聞くことがあります。
回答内容も1つ前と重複する箇所がありますが、記載します。
頻繁に会話をする慣れた相手だと口の動きでスムーズに会話できますが
初めて話す人や慣れない内容だと手話や文書でのサポートがないと
内容の理解が難しいです。
日常生活で困ることはほぼありませんが
激しい運動は控える、
例えば長時間走ったり重いものを運ぶことは難しいです。
障がいの原因
障がい内容をより理解するために聞きます。
先天性の場合など、原因を説明することが難しい方も多いと思いますが
その場合はそのまま回答いただいて問題ありません。
先天性のため原因は不明です。
※ここまででも充分ですが…※
母が私を妊娠しているときに高熱を出したことが起因しているのでは
と聞いたことがありますが、
医学的にそれが原因と言われているわけではないので分かりません。
健常者として育ってきたのですが、
小学校低学年のときに交通事故にあって下肢障がいとなりました。
事故から1年ほどは車いす生活をしていましたが、
リハビリを重ねて現在のように自力で歩けるようになりました。
事故の場合は発生直後から今の状態なのか
リハビリ期間など現状と異なる状態の期間がある場合には
併せて伝えられると親切です。
飲んでいる薬の名前と目的
こちらも障がい内容をより理解するために聞きます。
面接官をしている企業の人事担当は薬に詳しくないケースが多く聞き返されたりして
「これを答えて何になるんだ…?」と思ってしまうかもしれません。
が、必要に応じて専門機関に相談をするため何とか聞こうとするのです。
AAA(薬の名前)という血液の凝固を防止する薬を
毎日2回、朝晩飲んでいます。
通院の頻度・時間と目的
こちらは障がいの内容理解と併せて
必要な配慮を確認するための質問でもあります。
例えば通院先が平日の日中にしか予約が取れない場合は
通院のタイミングでお休みを取れるように配慮する必要があります。
3カ月に1度のペースで、
経過観察と補聴器メンテナンスのために通院しています。
通院先が平日にしか予約が取れないため、
通院日の午前中はお休みとさせてほしいです。
月に1度のペースで、
経過観察として一通りの検査をしています。
平日・土日問わず予約枠がありますが
土日が空いていない場合には平日に通院したいです。
手帳の有無と等級
また、転勤可能性のある企業・職種を想定している場合には
通院先を変えることができるのか、
転勤となった場合には通える範囲で病院を探すことができるのかを
確認しています。
手帳があるのか、ある場合には等級がいくつなのかを確認しています。
法定雇用率のカウント方法が等級によって異なるためで、
障がいの等級が重度の場合は2人分としてカウントされることがあります。
障がい者手帳があり、心臓障がいの2級です。
これまでの学生生活でどのような受けていた配慮
必要な配慮を確認するにあたり、具体的なイメージをつけるために聞いています。
学生の能力を図るのに「学生時代がんばったこと」という過去の話を聞くのと同じで
まずはこれまでどうしてきたかを聞く方が
学生も話しやすいし面接官目線でもイメージがつくと考えています。
小学校~高校においては体育の授業を見学していました。
また、重いものの運搬や雑巾がけなど
身体に負荷がかかる動作は免除してもらっていました。
授業中、先生の口元が見やすいように
座席を一番前にしてもらっていました。
体育は特別な配慮はしてもらってないですが
指示が聞こえづらいときは周りの友人が助けてくれました。
働く上で必要と思われる配慮
学生時代の配慮を効くことでほぼほぼ想像できるものの、
働く上で必要と思われる配慮を確認します。
デスクワークであれば特別な配慮は不要ですが、
体力面で過度な残業には不安があります。
また、重いものを運ぶことが難しいので
理解いただけると助かります。
電話対応が求められる業務は避けてほしいです。
1:1の会話は内容が理解しやすいですが
複数人が発言する打合せではUDトークやノートテイクなどの
情報保障がほしいです。
デスクワークであれば業務上の配慮は不要です。
エレベーターがあり、デスクまで車いすが通れる幅があり
だれでもトイレがあるビルでお願いします。
また、満員電車では車いすの移動が大変なので
可能な限りピーク時間を避けて通勤したいです。
勤務時間や通勤時間、コミュニケーション方法、環境面で必要なものを
しっかり伝えるようにしましょう。
絶対に必要なものなのか(MUST)、あれば助かるもなのか(WANT)も
意識して話せるとより良いです。
面接で明確に配慮が必要というべきか否か、
事前に主治医に相談してみることもおすすめです。
障がいがあることについての開示範囲
障がいの有無や内容は
「不当な差別や偏見その他の不利益が生じないようにその取扱いに特に配慮を要するもの」として
法律で要配慮個人情報に定められています。
そのため、配属や入社後の着任に向けて何を誰まで開示したいか
本人の意思を確認しておくことでスムーズかつ個人情報を守って調整ができるわけです。
内部障がいで業務において日々の配慮が必要ない場合など、
上司や同僚に開示せずに働いている方も多いです。
配慮が必要な場合には配属を調整する際に
障がいを周囲に開示せざるを得ないため
人事から配属候補部署に伝えて良いかを確認します。
表面上わからない障がいなので業務上の配慮が要らない限りは
周囲の方に開示しないでほしいです。
万が一重いものを運ぶよう言われたり、配慮が必要になった場合は
自分でコミュニケーションを取りたいと
こちらは面接ではなく内定後に確認をする企業も多いですが、
念のため考えを整理しておくと安心です。
障がい者採用は面接対策を万全に
記載してきた通り、障がい者採用の面接では
一般的な面接対策では網羅できない内容も多いので
事前に質問内容を想定して準備しておきましょう。
「配慮してほしい」と言うことに戸惑いがある人もいるかもしれませんが
障がいの内容や必要な配慮は変わるものではないので
遠慮せずありのままを伝えるようにしてください。
面接官目線ではその方が安心ですし
結果的に自己理解や言語ができている人なのだと
加点要素にもなります。
面接でうまく伝えられるか不安なときは事前に練習!
面接官側も学生が面接に不慣れであることや
初対面の人に障がいについて詳しく聞かれる機会はあまりないことは理解していますので
話しやすいように工夫しながら聞いています。
このページを見て伝えるべきことを整理できている場合は
大丈夫なので心配しすぎないでほしいです…!
それでもうまくできるか不安、
そもそも自分で伝えるべきことを整理するのにつまづいてしまった、
という場合には専任のスタッフに相談したり
模擬面接をしてもらうのが安心です。
いわゆるエージェントサービスならそういった相談が可能ですが
dodaチャレンジであれば障がい者採用専門で
新卒向けにも対応しているのでおススメです。
ぜひこういったものも活用しながら
面接に向けて事前準備をしていきましょう。