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採用担当目線で解説!障がい者採用の特徴と難しさ

近年、障がい者採用に注力する企業が増えていますが
うまくいっている企業はごくわずか…
大半は国が定めた雇用数、何なら企業で定めた目標人数にすら到達できていません。
一般採用(通常採用/健常者の採用)であれば目標人数を下回るなんて
採用チーム丸ごとクビ!!というレベルの事件です。

人事 まちこ
人事 まちこ
ではなぜ障がい者採用では目標未達がザラに発生するのか!?


その背景にはずば抜けた難易度の高さがあります。
本記事では、採用担当目線から障がい者採用の特徴や難しさを解説します。

この記事はこんな疑問を持つ人におすすめ!
  • 採用担当目線は障がい者採用をどう思っているの?
  • 障がい者採用と健常者向けの一般採用は何が違うの?

これらを理解することで就活をする側のみなさんにも
障がい者採用というものを客観的に見て、考えていただき、
スムーズな就活につなげてほしいと思います。

企業目線での障がい者採用の存在意義

企業内のダイバーシティ・インクルージョン推進

障がい者採用は企業のダイバーシティ・インクルージョン(多様性と包括性)の観点で重要な施策と位置付けられます。異なるバックグラウンドを持つ多様な人材の視点は新規事業・新サービスの企画に寄与します。
また、「多様な人材」の中でも障がい者はハンディキャップがあり活躍できる環境を整えることが難しいという見方もあります。そんな障がい者でも活躍できる環境がある=障がい者以外のマイノリティ(性別・年齢・国籍・・・)な人材も活躍できる環境である、というように多様な人材が活躍できる環境の醸成にも寄与しています。

人事 まちこ
人事 まちこ
企業規模が大きい程、これらのポイントを追求する傾向ですが、
社風や事業内容によっては「所詮きれいごと」という捉え方に留まる企業もあるでしょう。
そんな場合にも一定以上規模の会社には社会的責任が求められるので
無視をするわけにはいかないのです・・・

社会的責任の遂行

障がい者は物理的にできることが限られ一部の職種や環境では就労が難しいケースがあること、共に働くということは時に配慮も必要なことから障がい者雇用は難しいと感じる企業が多いことから、健常者と比較すると就労ハードルが高いです。
その中で雇用を推進することは、障がい者が収入を得て、生計を立て、社会的な自立の実現することに寄与しますし、障がい者雇用の社会的認知が向上すれば良いサイクルが回り始めます。
また、少子高齢化により労働人口が減少している中で、障がい者は労働市場拡充における新たなターゲットとなります。

法定雇用率の順守が必要

上記のような社会的意義がある障がい者採用を推進すべき、というのを国が具体的に数字に落とし込んだのが法定雇用率です。2023年8月時点での法定雇用率は2.3%、つまり従業員を43.5人以上雇用している企業では、障がい者を1人以上雇わなければなりません。1000人の企業では23人以上雇用しなければなりません。
企業はこれを達成するために障がい者採用に取り組む必要があり、達成できない場合にはハローワークからの行政指導が入ります。

引用元:厚生労働省 障害者雇用率制度の概要

分母・分子やカウント方法の定義も明文化されています。

このように障がい者採用は
企業内でのD&I社外向けにも社会的責任意義があるというだけではなく
明確に国から法定雇用率2.3%という数値目標を課せられている
必須の取り組みなのです。

特に大手企業が注力する理由についてはこちらの記事をご覧ください。

採用担当目線から見た障がい者採用の特徴と難しさ

障がい内容に応じた業務・配属検討が必要

配属に配慮が不要な方もいますが、障がいの種類や程度によっては適切な業務や職場への配属が必要な方もいます。例えば、下肢障がいで移動に負荷がかかる方を外回りの営業へ配属することはできませんし、聴覚障がいで電話対応が難しい方をお客様向けコールセンターへ配属することはできません。
健常者の採用でも本人の希望や志向性を踏まえて配属を決定すべきですが、障がい者採用ですとそれらに加えて例に挙げたような物理的な制約も加わってくるため、採用担当者は個々の障がい内容を理解し、より慎重に配属を決定する必要があります。

職場理解の醸成が必要

業務上配慮が必要な障がい者が就労し、配属後も活躍していくためには職場の理解と協力が欠かせません。実際に障がいのある方の配属を打診すると「前例がないから難しい」「余裕がないからサポートできない」といった反応を示す部署も少なくないです。
人事担当者は配属先部署に対して、障がい者の特徴をきちんと理解させ、必要なツール工数の少ないサポート方法について共に考えて準備することが求められます。
採用候補者だけでなく社内の配属先部署にも気を配り、双方をサポートすることが必要です。

人事 まちこ
人事 まちこ
私の会社でも、サポートの必要な障がい者が配属される部署には配属前に事前説明会を実施しています。その際、障がいの内容についてどこまで人事から配属先にお伝えするべきかは入社者本人とよく話あって決めています。

法定雇用率の達成が求められる一方で世の中の母数は少数

企業にとって国から定められた法定雇用率の達成はマストであるものの、現実的には障がいのある方で働く意欲があり、自社の環境でサポート可能な障がい内容であり、自社の求める能力やマインドを持っている人・・・と考えていくと世の中の母数はごく少数
大手企業だと新卒採用といえば、5桁を超える多くのエントリー者が居て書類選考~面接でどんどん絞って…という進め方になりますが、障がい者採用はそうもいきません。

障がいがあること自体への配慮が必要

ここまでに書いた通り健常者の採用との違いは多くありますが、それを理解してどんどん進めればよいというものではないのです。人によって障がいはセンシティブな情報であり、「障がいがあること自体を公表したくない」「配属先には人事からではなく自分で説明をしたい」など様々な想いを持つ方がいらっしゃいます。
そのため、いかなる段階においても1人別の丁寧なコミュニケーションが求められます。

障がい者採用ならではの取り組み

障がい者にターゲットを絞った採用広報

採用候補者の中で障がいのある方はマイノリティですので、障がい者採用向けの採用HPの作成等ターゲットを限定した広報活動を実施します。訴求内容が異なるためマーケティングとしても効果的ですし、障がい者採用に力を入れていることを求職者へ示すこともできます。新卒採用活動の中でも「営業をやりたい人」「大学がMARCHクラスの人」などターゲットを分けて訴求することはあっても、わざわざ採用HPを分けてつくるようなことはしません。(私調べ。)それだけ障がい者採用というのは採用担当目線では特殊で訴求すべき内容も一般採用とは異なります。

障がい者採用向けイベント出展

障がい者採用では説明会や座談会のイベントに出展し、候補者と直接会話する機会が多いです。世の中の母数が少ないがために、エントリー前でも、自社に興味があるかわからなくても、とにかく1人でも多く近い距離で会話をしたいのです。大手の一般採用であれば自然とエントリーは集まってくるので、集客の多くないイベントにせわしなく行く必要はありません。

人事 まちこ
人事 まちこ
これを就活生目線で考えると、障がい者採用向けイベントに行けばいきなり大手の人事と直接話せるので、一般採用で受けると決めていても障がい者採用向けイベントには積極的に行くとよいと思います。

面接は全て個人面接

一般的には選考の序盤で数名の候補者を集めてディスカッションをさせるグループディスカッションや、面接官:候補者=1:3~1:5で行う集団面接を実施することが多いですが、障がい者採用は集団での選考を行うことはほぼありません。序盤から障がい内容をきちんと聞いて理解しなければならないので他の候補者と場を分けるのが望ましいこと、また障がいの内容によってはコミュニケーションのペースが遅くなることから、障がい者採用の面接は原則個人面接となります。

障がい者採用は採用担当目線で難易度の高い採用活動

本記事では私の経験を踏まえて、採用担当目線での障がい者採用の特徴や難しさを説明しました。取り組みの意義が大きく必要に迫られているのに難易度が非常に高いという逆境感が熱くさせるのかもしれません。また、大手企業で何百人もの採用活動をしていると、どうしても学生をマスでとらえて広報活動をしたり進捗管理をしたりする場面が多いです。そんな中で1人1人と向き合いながら採用を進め、1人の内定承諾がチーム全員で歓喜するような重みがある障がい者採用は、私にとって非常に魅力的な仕事です。

この魅力を語ることで、就活をする側のみなさまの理解につながり、就活が進めやすくなると良いなと願っております。

ABOUT ME
人事のまちこ
都内在住の30代、 大手のザ・日本企業で10年以上人事をしています。 障がい者採用は一般的な採用活動とは異なり、 様々な採用業務を経験した私にとっても特殊で奥深い世界。 それらの裏側を知ってもらうことで 障がい者の就活を不安なくポジティブに進められるよう 情報発信をしています!